メタバースって結局なんなの？ VRや暗号通貨、NFTとの関連性も解説

さまざまな場面で聞くようになった「メタバース」という言葉。多くの企業や団体がこぞって取り組みを進めていますが、そもそもメタバースとはなんなのか、明確に分かっていない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、メタバースとはなにか、メタバースとの関連で取り上げられることも多いVRや暗号通貨、NFTとはどんな関係があるのか解説します。

メタバースとは

仮想空間のことだが定義はない

メタバースとは、インターネット上にある仮想空間のことを指します。アバターを操作して他人とコミュニケーションを取ったり、ゲームを遊んだり、ショッピングをしたりといった、現実に近い体験が可能な空間のことをメタバースと呼ぶことが多いようです。

「ようです」と歯切れの悪い書き方になってしまい恐縮ですが、メタバースの意味するものが人によって、あるいは企業や運営主体によって異なりますので、そう言わざるを得ないのです。

メタバースはひとつの空間ではない

メタバースは一つの大きな空間ではなく、管理者ごとにさまざまな仮想空間が存在します。「これがメタバースです」という明確な定義がありませんので、それぞれが自由にメタバースを作ったり作ろうとしたりしているのです。

メタバースは新しい概念のようにも思えますが、実はすでに触れたことがある方もいるかもしれません。ゲームの世界ではメタバース的な取り組みが先行しており、「マインクラフト」や「あつまれ どうぶつの森」などの人気タイトルを挙げるまでもなく、みんなで同じ仮想空間に集まってさまざまなアクティビティを楽しむのは当たり前になっています。

メタバースにVRや暗号通貨は必要か

メタバースに明確な定義はないのはお話したとおりですが、親和性が高い技術として注目を集めているものはいくつかあります。

VRで没入感アップ

「メタバースではVRが重要な技術になる」と主張する人たちがいます。VRとは「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。

「VRゴーグル」を装着することで、これまで平面でしか楽しめなかった動画やゲームなどを立体的に捉えることが可能になり、まるで自分がそこにいるかのような感覚を味わうことができます。

VRであれば、メタバース上に構築された公園やショッピングモール、学校などの場所に自分が訪れているような感覚に浸れるかもしれません。

暗号通貨・NFTでデジタル取引

「メタバース上の商取引は暗号通貨が主流になる」と主張する人たちもいます。暗号通貨は「仮想通貨」としても知られ、ビットコインやイーサリアムなど、原則的に特定の発行者をもたないデジタル上の通貨を指します。

それがなぜメタバースとつながりが深いかと言えば、メタバース上で取引されるであろう商品の中には、画像や動画、文章などのデジタルデータが多くなることが想定されるからです。

従来のデジタルデータはコピーが容易であり、価値を証明するのが困難でした。ただし「NFT」という仕組みを使うことにより、改ざんがほぼ不可能なデジタル証明書を発行し、「それが唯一のデジタルデータですよ」と証明することが可能になったのです。

そのNFTの取引には、イーサリアムやポリゴンといった暗号通貨が使用されます。メタバース上の「土地」をNFT化して販売する事例もあり、そういった動きの中でメタバースと暗号通貨の関連性は強くなっていると言えます。

メタバースに必要なもの

VRや暗号通貨、NFTは、メタバースと親和性が高い技術です。それは確かなのですが、それらを必要としないメタバースはゲームの世界などすでに存在しています。メタバースに必須なのは、インターネットと集合する空間くらいのものでしょう。

そうした状況を知ってか知らずか、「○○はメタバースに不可欠である」と大きな声で主張することで、自らの存在をアピールしているように見える企業や運営主体もあります。

それぞれに思い描くメタバースがあるのは、メタバースの定義が定まっていない以上はやむを得ないことです。とはいえ、自分たちの利益を優先してメタバースを構築しようとしているのであれば、その試みがうまくいくとは思えません。

メタバースにどのような技術が採用されるにしろ、それはユーザーファーストであってほしいですし、「異なるメタバース」も尊重する寛容性もあってほしいものです。

終わりに

インターネットの普及とともにオンラインショッピングが盛んになり、離れた友人と一緒にゲームができるようになり、家にいながら仕事ができるようになったり。かつては実際に会い、実店舗で購入するのが当たり前だった私たちの生活は一変しました。

そういった状況を踏まえると、インターネット上の各種サービスが統合された、メタバースというバーチャルな世界が広がっていくのは必然なのかもしれません。

メタバースが今後どのような形になるのかを見通すのは難しいことですが、あらゆる局面でデジタル化が進む以上は、我々は意識せずともメタバースと関わっていくことになりそうです。