ヘデラ・ハッシュグラフとは。大手ゲーム会社も注目するブロックチェーン・暗号通貨の特徴や価格推移を解説
ビットコインに代表される暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)は一般的に、ブロックチェーンと呼ばれる分散台帳システムをその基盤としています。しかし一部には、ブロックチェーンではない独自の技術を用いて暗号通貨やアプリケーションを運用しているプロジェクトもあります。
今回紹介するヘデラ・ハッシュグラフ(ヘデラ/HBAR)もそのひとつ。大手企業も注目するヘデラ・ハッシュグラフについて、特徴や直近の価格推移を解説します。
ヘデラとは
まずは、ヘデラの特徴を解説します。
独自技術により分散管理
ヘデラは、分散型アプリケーションを展開するプラットフォームとして開発されました。ブロックチェーンではなく、「ハッシュグラフ・コンセンサス」と呼ばれる独自のシステムにより分散管理を実現しています。
ヘデラのネイティブトークン(ネットワーク内で使用される固有の暗号通貨)はHBARであり、送金やトークンの作成、スマートコントラクトの呼び出しなど、ヘデラの利用にかかる手数料として使用されます。
高速処理とほぼ無料の手数料が魅力
ヘデラでは、ビットコインは分散型インフラのパイオニア、イーサリアムはプログラマビリティをもたらしたと評価しますが、それらの採用する取引承認システム「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」は大量のエネルギーを消費し取引処理に時間がかかる問題があると指摘します。
ヘデラの採用する「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」は、ハッシュグラフ・コンセンサスにより高度なセキュリティ(ABFT)を実現し、高速の取引スピードと低エネルギー消費を実現しました。
具体的には、1秒あたりの取引処理量は、ビットコインが3件以上、イーサリアムが12件以上に対し、ヘデラは10,000件以上を誇ります(2021年2月~5月の平均)。手数料の平均は0.0001ドルとほぼ無視できるレベルであり、エネルギー消費量はビットコインの520万分の1、イーサリアムの60万分の1のレベルを実現しているとします。
使い勝手の良さもさることながら、環境問題への対処は近年の企業経営において重要なテーマになっており、環境負荷の低いヘデラはその点で大きなアドバンテージがあります。
大手企業が統治評議会を構成
ヘデラの運営方針を決めるのは、「ヘデラ統治評議会」と呼ばれる組織です。そのメンバーには、GoogleやIBM、ボーイング、LG、野村といった各ジャンルのトップ企業が名を連ねており、その期待の高さをうかがい知ることができます。
2022年3月には、「アサシンクリード」「ファークライ」などで知られる大手ゲーム会社Ubisoftとパートナーシップを結び、ヘデラ統治評議会に迎え入れました。ゲーム業界にも分散管理の波は押し寄せており、Ubisoftは次世代のゲームにヘデラネットワークを活用するとしています。
ヘデラは、ガバナンスをコンセンサスから切り離すことで分散化の懸念に対処しています。単一の企業、小さな開発者グループ、またはノードオペレーターがネットワークに対して過度な影響や制御を受けないことを保証します。
すでに実用化が進む
ヘデラはすでに多方面で実用化が進んでいます。イギリスの病院では、改ざん困難な分散ネットワークの特徴を利用し、ワクチンを適切な温度で保管するためのシステムを導入しました。
そのほか、デジタル広告の詐欺を見抜いたり、医療データを追跡可能なシステムを構築したり、あるいは分散型IoTプラットフォームを構築したりといった利用例があります。
2021年2月には、「ヘデラトークンサービス(HTS)」の一般利用が可能になったと発表しました。ヘデラの特徴である高速かつ低コストを武器に、プラットフォーム上でさまざまな暗号通貨を発行可能にするもので、企業がより手軽にデジタルコインを利用できるようにするとしています。
ヘデラ(HBAR)の価格推移
ヘデラは2020年末まで、おおむね5円以下の水準で推移してきました。2021年に入り、暗号通貨市場が強気相場入りしたことを受けて上昇を始め、4月には約45円の高値をつけました。
その後は一旦下落しますが、7月下旬から再上昇を開始。9月には約55円の最高値をつけました。それ以降は波はありつつも、市場全体の弱気ムードに引きづられる形でおおむね下落傾向にあり、2022年7月の執筆時点では約9円で推移します。
終わりに
ヘデラはブロックチェーンを使わず独自のシステムで分散管理を実現しています。ビットコインやイーサリアムと比べると、圧倒的な速さや安さ、そして環境負荷の少なさが特徴です。
2022年7月の執筆時点で日本の暗号通貨取引所では売買できませんが、そうそうたる大企業が関与していることもあり、今後に注目していきたい暗号通貨のひとつといえます。