BitTorrent-Newとは。ファイル共有サービスの老舗が展開するブロックチェーン・暗号通貨の特徴や価格推移を解説

ブロックチェーンと従来からあるテクノロジーの融合は急速に進んでいますが、それはBitTorrentのような定番サービスも例外ではありません。

今回紹介するのは、ファイル共有サービスのBitTorrent(ビットトレント)が発行する暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)のBitTorrent-New(BTT)です。主な特徴や直近の価格推移を解説します。

BitTorrentとは

BitTorrentは2001年に開発がスタートし、2003年にソフトがリリースされたファイル共有サービスです。「Bit」という名がつきますが、ビットコインの発明は2008年のことですから、そこからインスパイアされたわけではありません。

P2P(Peer to Peer)と呼ばれる、ネットワークの参加者が対等の関係でファイルをやり取りする方式を採用しており、人気のあるファイルほどダウンロード速度が速くなるという従来の常識を覆す特徴から、単体のソフトのみならずGoogleやTwitterなどさまざまなサービスに組み込まれていきました。

P2Pがもつ匿名性、分散管理などの特徴は、まさにブロックチェーンや暗号通貨が強みとする特徴そのものであり、その意味ではBitTorrentがブロックチェーン化していくのは必然の流れだったと言えるでしょう。

BitTorrent-Newとは

ここからは、BitTorrent-Newの特徴を解説します。

トロンネットワークで展開

BitTorrent-Newは、世界最大とも言える分散型ファイル共有サービスにブロックチェーンを活用するために発行された暗号通貨です。ジャスティン・サン氏率いるトロンネットワークの規格「TRC-20」に基づいて発行されました。

BitTorrent-Newを使ったDapps(分散型アプリケーション)はすでにBitTorrentの各種サービスに組み込まれており、 「BitTorrent Speed」、「BitTorrent File System」、「DLive」などで利用されています。

アップロードする人にインセンティブを提供

BitTorrentの機能のひとつであるBitTorrent Speedでは、ダウンロードする人がより速いダウンロード速度を手に入れるため、アップロードする人にBitTorrent-Newを支払うオプションが用意されています。

アップロードする人にインセンティブを与えることにより、ファイルをシード、つまり他人に共有できる状態にする人が多くなり、よりスムーズにファイルを共有できる環境を提供することが期待されます。

PoS採用による分散管理

BitTorrent File System(BTFS)は、デジタルコンテンツを分散型ファイリングシステムで保存・共有するためのP2Pメカニズムを提供するシステムとネットワークです。従来のファイルストレージシステムが抱えていた、特定の管理者による一括管理、政府による検閲、障害耐性の低さといった問題を解決するものとして登場しました。

BitTorrent File Systemは、数百万のBitTorrentユーザーノード(BitTorrentを利用するユーザーや端末)が支える分散型システムです。取引承認プロセスには「Delegated proof of Stake(DPoS)」を採用しています。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の派生形であり、代表者を選出し少ない人数で取引承認を行うことによりスムーズに処理できる仕組みです。

ファイル管理にブロックチェーンを取り入れたことにより、分散管理や耐障害性といったBitTorrentの特徴はより強固なものとなります。将来的には、公正で豊富なファイルシステムを維持することに協力したユーザーにインセンティブを与えることが計画されています。

ライブプラットフォームも展開

DLiveは、ブロックチェーン上に構築されたライブストリーミングコミュニティです。これまでにない報酬システムを導入することで、ライブ配信者にも視聴者にもメリットのある仕組みの構築を目指します。BitTorrent-Newは、バーチャルギフトやサブスクリプション、視聴者リワードなどに利用される予定です。

現時点ではそこまで注目を集めている存在とは言い難いものの、動画配信サービスにおける配信者の取り分はたびたび不満が上がる点のひとつだけに、それを解決できるのであれば魅力的なプラットフォームに成長する可能性はあるでしょう。

BitTorrent-Newの価格推移

BitTorrent-Newは、2022年に入り市場での取引が開始されました。発行直後の乱高下を除けば、暗号通貨市場全体の弱気ムードもあり価格は下落し続けてきました。ただし、6月頃に最安値をつけた後はじりじりと上昇しており、2022年9月の執筆時点では0.0001177円で推移します。

終わりに

BitTorrent-NewはBitTorrentをより利便性の高いサービスにするために開発されたブロックチェーン・暗号通貨です。現時点では利用ケースも限られ注目度は低い状態ですが、多くのユーザーを抱えるBitTorrentとうまく連携できれば価格の上昇も期待できそうです。

2022年9月の執筆時点で日本の暗号通貨取引所での売買はありませんが、BitTorrentのサービスに興味がある方はその動向をチェックしておくとよいでしょう。