ブロックチェーンをつなぐポルカドットの特徴や価格推移を解説
ビットコインの誕生以降、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)やブロックチェーンの技術は急速な進化を遂げました。多くのブロックチェーンが独自の特徴を打ち出してユーザーを集めていますが、そこで課題となっているのが、異なるブロックチェーンをどうつなぐのかという点です。
今回紹介するポルカドット(DOT)は、その点に着目してつくられたブロックチェーン・暗号通貨です。高い注目を集めるポルカドットの特徴を、直近の価格推移とともに紹介します。
ポルカドットの特徴
まずは、ポルカドットの特徴を解説します。
イーサリアムの共同創設者が開発
ポルカドットは、2020年に誕生したブロックチェーン・暗号通貨です。比較的浅い歴史ながら、暗号通貨の実力を表す時価総額は執筆時点(2022年6月)で11位に位置しており、その注目度の高さをうかがい知ることができます。
ポルカドットの生みの親は、イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッド氏です。彼は非営利団体「Web3Foundation」を設立し、ポルカドットのプロジェクトを進めています。
ちなみに、「Web3」(Web3.0と呼ばれることも多い)とは近年話題となっているインターネットの新しい概念のこと。「Web1.0」はコンテンツ制作者が一方的に発信するもの、「Web2.0」はSNS等により双方向に発信するものであるのに対し、Web3.0はブロックチェーンなどを活用し分散型の管理がなされるインターネット環境が理想とされます。
このWeb3.0の概念自体も、ウッド氏の考え方が一般的になったものです。メタバースやNFT、DefiなどがWeb3.0の代表的な技術としてもてはやされる一方で、結局は企業や投資家によって支配されており、分散管理は実現していないのではないかとの指摘もあります。
ブロックチェーンをつなぐ
ビットコインとイーサリアムなど、異なるブロックチェーンのデータはそのままでは自由にやり取りすることができません。ユーザー目線からすると、便利なサービスはどのブロックチェーンかは関係なく利用したいところですが、現状ではそうもいきません。
この問題を解決するために活用されるのがポルカドットです。複数のブロックチェーンをつなぐ仕組み(インターオペラビリティ)を実現することで、これまで暗号通貨取引所など「管理者」が介在していた部分を省略し、真の分散型ネットワークが形成されるとしています。
ポルカドットネットワークは、メインのブロックチェーン(リレーチェーン)と、ユーザーが作成した多くのパラレルチェーン(パラチェーン)、そしてブロックチェーン同士をつなぐ接続レイヤー(ブリッジ)から構成されます。
パラチェーンによる高速処理
ブロックチェーンでは、利用者が多くなると取引の処理が遅延したり、手数料が高くなったりする「スケーラビリティ問題」に頭を悩ませることになります。イーサリアム上でNFTやDrfiなどのサービスが人気を集めるのとともに大きく取り上げられるようになり、さまざまな解決方法が模索されてきました。
ポルカドットでは、ほとんどの情報をメインのブロックチェーンではなくパラチェーンで処理することにより、スケーラビリティ問題の解決を図っています。その結果、1秒に処理できる取引データの数はイーサリアムが15件弱に対しポルカドットは1000件以上であり、理論上は100万件も可能としています。
誰もが参加しやすいネットワーク
ブロックチェーンというと、我々の多くは利用する側に回ることをイメージしがちです。ブロックチェーン関連の開発は一般的なプログラミングと比較してもハードルが高い印象があり、また資金流出のリスクも懸念して尻込みしてしまうプログラマーも少なくはないでしょう。
誰もが参加できるWeb3.0の発想のもと展開されているポルカドットでは、「Substrate」と呼ばれるオープンソースの開発ツールを公開し、誰もがブロックチェーン上でサービスを展開できるよう支援しています。
セキュリティはポルカドットのネットワーク全体で確保するシステムが構築されています。個々のサービスでセキュリティを気にする必要はほとんどなく、開発者たちはサービス内容を充実させる作業に専念することができます。
すべてのポルカドット保有者が発言権をもつシステムを導入するなど、多くのユーザーをポルカドットのコミュニティに引き入れることで真の分散型ネットワークを目指すウッド氏の思想が色濃く反映されています。
ポルカドットの価格推移
ポルカドットの価格が上昇し始めたのは2021年に入ってからでした。暗号通貨市場全体の好調さにつられる形ではあったものの、5月には約5,250円の高値をつけました。年初からの上昇は10倍以上に達し、誕生したばかりの新しい暗号通貨への高い期待が表れた形になりました。
その後は下落しますが、7月下旬を起点に再度上昇に転じ、11月には5月の高値を更新する約6,000円をつけました。執筆時点では暗号通貨市場の低迷を受け、約940円で推移します。
誕生して間もないこともあり、全体として値幅が大きく取引には注意が必要でしょう。とはいえ、11位という時価総額が示すように市場の期待は高く、今後を注視すべき暗号通貨の一つです。
終わりに
ポルカドットは、生みの親であるウッド氏が提唱するWeb3.0の世界を具現化させたかのような暗号通貨・ブロックチェーンです。
多くのブロックチェーンがつながることはユーザーの利便性に直結するだけに、ポルカドットの世界がどこまで広がっていくか注目しましょう。