AXS/SLPとは。人気NFTゲーム「アクシー・インフィニティ」で使える暗号通貨の特徴や価格推移を解説
ビットコインを運用するためのプラットフォームとして開発されたブロックチェーンは、イーサリアムによってさまざまなサービスを展開する場として大きな飛躍を遂げました。
NFTやDefiといった新しいサービスが登場する中で、ゲーム分野にもブロックチェーンを取り入れる動きが出てきました。
今回紹介するAXSおよびSLPは、最も成功したNFTゲームのひとつ「アクシー・インフィニティ」で使用される暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)です。ゲームや暗号通貨の特徴、直近の価格推移を解説します。
アクシー・インフィニティとは
まずは、アクシー・インフィニティがどのようなゲームか解説します。
ゲームで生計を立てる人も現れる
アクシー・インフィニティは、「アクシー(axie)」と呼ばれるペットを育成し、対戦や繁殖、取引などをして楽しむゲームです。アクシーやゲーム内の土地はNFT化されています。これにより、ブロックチェーン上で固有の価値をもつものとして証明されるため、ユーザーが自由に売買することが可能になります。
今や「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」をうたうNFTゲームはたくさん存在しますが、アクシー・インフィニティはその中で最も大きな成功を収めたゲームのひとつと言えます。
アクシー・インフィニティは、ベトナムの企業「Sky Mavis」によって開発されました。主に東南アジアで高い人気を誇り、それらの地域ではゲームプレイで生計を立てる人が少なからずいると報道がなされたこともあります。
サイドチェーン移行の功罪
アクシー・インフィニティは、リリース当初はイーサリアム上でアプリケーションを展開していました。しかし、イーサリアムの取引増大に伴うスケーラビリティ問題の発生により、取引処理が遅延したり手数料が高騰したりといった問題に頭を悩ませるようになります。
そこで、Roninと呼ばれる独自のサイドチェーンを立ち上げました。多くの処理をRoninで行うことで、イーサリアムの混雑を避けてサービスを提供することとしたのです。
ゲーム自体は快適にプレイできるようになったものの、強固なセキュリティを誇るブロックチェーンの外で処理を行うことには代償もありました。他のネットワークからRoninにお金を移動する機能であるブリッジを狙ったハッキング被害が発生し、6.2億ドル以上が盗まれてしまったのです。
Sky Mavisは資金調達により危機を回避し、アクシー・インフィニティのユーザーには補償がなされたものの、他のブリッジでもハッキング被害が多発していたこともあり、セキュリティに対する不安が改めて浮き彫りとなりました。
AXS・SLPとは
ここからは、アクシー・インフィニティで使われる2種類の暗号通貨について解説します。
アクシー・インフィニティ・シャード(AXS)
アクシー・インフィニティ・シャード(AXS)は、アクシー・インフィニティのガバナンストークンとして機能します。イーサリアム上で新しい暗号通貨を発行するための規格「ERC-20」に基づいて発行されています。
AXSは、アクシーNFTマーケットプレイス内の通貨として機能するほか、一定量を預け入れる(ステーキングする)ことで追加の報酬を得ることができます。ステーキングを行うことで、アクシー・インフィニティにおけるさまざまな提案に支持を表明できるようになります。
スムーズ・ラブ・ポーション(SLP)
スムーズ・ラブ・ポーション(SLP)は、アクシー・インフィニティをプレイすることで得られる暗号通貨です。自分の育成したアクシーを他のプレイヤーまたはCPUのアクシーと戦わせ、勝利するとSLPを獲得できます。そのほか、毎日のログインなどさまざまなアクティビティによって付与されることもあります。
SLPはそのまま換金することもできますが、アクシーの繁殖に使ってゲームを有利に進めることもできます。なお、繁殖には少量のAXSも必要となります。
ユーザーは2022年以降減少に転じる
NFTゲームは一般的に、ユーザー規模が暗号通貨の価値に直結します。アクシー・インフィニティの月間アクティブユーザー数は、2022年1月の278万人をピークに減少を続けており、6月までに100万人を切る水準まで落ち込みました(activeplayer.ioによる)。
ゲームのアップデートを含むSLPの価値を高める施策により、新規ユーザーの呼び込みや既プレイユーザーの復帰を促すことが鍵となりそうです。幸いなことに、現状でアクシー・インフィニティの座を脅かすほどのNFTゲームは出ておらず、巻き返すチャンスは十分にあるでしょう。
SLPの価格推移
ここでは、ゲームプレイで得られるSLPの直近の価格推移を紹介します。
SLPが大きく上昇したのは2021年4月下旬からでした。直前の約3.5円から、一週間ほどで約40円までの急騰を見せたのです。この上昇はすぐに落ち着き価格は下落するものの、7月には再度40円弱の水準まで上昇しました。
それ以降は、人気の落ち着きや暗号通貨市場全体の弱気相場もあり価格を落としました。2022年8月の執筆時点で約0.66円で推移します。
終わりに
AXSおよびSLPは、アクシー・インフィニティで利用される暗号通貨であり、その価格はゲームの人気に大きく左右されます。
2022年8月の執筆時点ではユーザー数が減少傾向にあるものの、ゲームシステムの改善等により反転する可能性もあるだけに、今後を注視したいところです。