FTXトークンとは。取引所が発行する暗号通貨の特徴や価格推移を解説

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)を入手するとき、多くの人がお世話になるのが暗号通貨取引所です。日本にもたくさんの取引所が展開していますが、海外に目を向けると、取り扱い通貨やサービスの面で日本にはない特徴をもつ取引所が多くあります。

海外の取引所では、独自の暗号通貨を発行しサービスの充実を図るところもあります。今回紹介するFTXトークン(FTT)もそのひとつです。FTXトークンの特徴や直近の価格推移などについて解説します。

FTXとは

FTXは、サム・バンクマン・フリード氏らによって設立された暗号通貨取引所です。デリバティブと呼ばれる金融派生商品を多数取り扱っている点などに特徴があり、2019年設立と歴史は浅いながらも、世界で高い人気を誇る取引所のひとつです。

日本法人にあたるFTX Japanは、2022年6月に設立されたばかりの新しい取引所です。日本の取引所の規制は世界レベルで見てもたいへん厳格であり、国内に届け出を出さずに在住者向けにサービスを提供した場合、金融庁から厳しい警告を受けることになります。最大手取引所のバイナンスも2度警告を受けました。

そのため、世界のユーザー向けに提供している取引所サービスを日本でそのまま展開することはできず、日本の規制に準じた形で日本版の取引所を設立し運営する必要があります。全世界版のFTXと日本版のFTX Japanでは、売買可能な暗号通貨やサービスが異なりますので注意しましょう。

ここからは、FTXトークンの特徴を解説します。

FTXトークンは、2019年に発行を開始した暗号通貨です。イーサリアム上で新しい暗号通貨を発行するための規格、ERC-20で発行されました。FTXのエコシステムに活力を与えるためのトークンとしており、保有すると取引所を利用する際にさまざまな特典が付与されます。

FTX Japanでは、アメリカドル換算で100ドル以上のFTXトークンを保有すると、保有量に応じて取引手数料の割引が適用されます。そのため、FTXを利用する方で細かく売買を繰り返すスタイルであれば、FTXトークンを一定量保有しておくことでかなりの手数料を節約できます。

そのほか、メイカー(取引の板にない価格で注文したり約定したりする取引)手数料の割引や、イーサリアムおよびERC-20暗号通貨の出庫手数料が無料になったりする特典もあります。

FTXトークンの総発行枚数は3.5億枚であり、このうち半数にあたる企業トークンは3年にわたってアンロックされました。また、FTX自身は上場価格を下回る価格でFTXトークンを販売する予定はないと表明し、購入を予定するユーザーに安心感を与えました。

そのほか、バーン(焼却)によって総供給量を減らし、価格の安定を図る仕組みも取り入れられています。その財源として、FTXの取引で発生した全手数料の33％、保険基金の純増の10％、FTXプラットフォームの他の用途から得られた手数料の5％を使います。

FTXがFTX/USD市場でFTTを買い上げ、FTXが採用したスケジュールに従って週単位でバーンされます。FTTのバーンは、最低でも半数がバーンされるまで継続されますので、長期間にわたって安定した値動きをすることが期待されます。

2019年の発行当初は100円台で推移してきたFTTでしたが、FTXの利用者が増加するのに伴いその価格をじわじわと上げてきました。2020年12月までに約600円まで上げると、2021年に入り暗号通貨市場の強気ムードに乗る形で大きく上昇し、5月には約6,700円に達しました。

その後は下落するものの、7月を底に反転。9月には約8,800円の最高値を記録しました。2022年に入ってからは暗号通貨市場の低迷もあり価格を落としましたが、6月以降は上向きの流れとなり、2022年9月の執筆時点では約3,900円で推移します。

保有することにより手数料の割引があること、バーンが行われることなどを考慮すると、保有し続けることのメリットが大きく、価格が大きく崩れる可能性は比較的低いと考えられます。もちろん、FTXが取引所としての競争力を維持し続けることが重要となりますので、保有する場合はそのことも頭に入れておきましょう。

FTTは、大手暗号通貨取引所のFTXが発行する暗号通貨です。FTX Japanで取引をする際にも手数料の割引などの特典がありますので、取引所を利用する際には保有を検討したい暗号通貨です。