USDコインとは。人気ステーブルコインの特徴や安全性を解説
暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)と言えば、ダイナミックな値動きが多くの投資家を引き付け、また警戒させることが大きな特徴となっています。
その一方、ある程度安定した値動きをするよう設計された暗号通貨も存在します。ステーブルコインと呼ばれるそれらの暗号通貨の中には、時価総額で上位に入るものもあり多くの投資家に利用されています。
今回紹介するUSDコイン(USDC)は、最も多く利用されているステーブルコインのひとつです。ステーブルコインを使う目的やUSDコインの特徴について解説します。
ステーブルコインとは
まずは、ステーブルコイン全般の特徴を解説します。
価格の変動を極力抑える
ステーブルコインは、価格の安定を目的として設計された暗号通貨です。例えば「1アメリカドル=1コイン」のように、他の通貨とほぼ連動した値動きにする(ペッグする)ことで価格変動を抑え、支払い時の不安定さをなくすことが期待されています。
ステーブルコインにはさまざまな種類がありますが、もっとも取扱量が多いのはアメリカドルと連動するタイプです。USDコインやテザーUSD、DAIなどの暗号通貨が存在します。そのほか、金価格と連動する国産のジパングコインも注目を集めています。
裏付け資産が重要
ステーブルコインに価格の安定性をもたらすために重要なのが、十分な裏付け資産を用意できていることです。例えばアメリカドルであれば、仮にすべてのユーザーがアメリカドルへの両替を希望したとしても、それに応えるだけのアメリカドルをすぐに用意できることが求められます。
裏付け資産が十分でないとみなされてしまえば、そのステーブルコインは信用を失い、本来の水準からは大きく離れていきます。2022年5月には、テラUSDがアメリカドルとのベッグから外れて崩壊するという出来事がありました。テラUSDは暗号通貨のルナを裏付け資産としていましたが、ルナの価格が下落したことでペッグに耐えきれなくなったのです。
USDコインの特徴
ここからは、USDコインの特徴を解説します。
コインベースが主導
USDコインは、2018年に大手暗号通貨取引所のコインベースとサークル社が協力して発行された暗号通貨であり、1アメリカドル=1USDコインとなるよう設計されたステーブルコインです。
USDコインは、アメリカの規制下にある金融機関の分離保管口座に保有される、流通しているUSDコインと同等以上の価値をもつドル建て資産によって裏付けられています。この口座は独立系の会計事務所による証明を受けており、裏付け資産の信頼性はきわめて高いと言えるでしょう。
通常のアメリカドルを保有するためには、銀行口座を保有する必要がありますが、USDコインであればそれは必要ありません。コスト面でも、銀行を経由してアメリカドルを入手するよりも圧倒的に有利であり、資金を無駄なく活用することができます。
USDコインであれば居住地域も関係ないため、世界のどこにいても制限なくアメリカドルと同等の価値があるUSDコインを手に入れることができます。自国通貨の価値が安定しない、あるいは金融サービスが十分でない地域に居住する人にとって大きな意味のあることです。
Defiで人気
USDコインは、イーサリアム上で新しい暗号通貨を発行するための規格「ERC-20」に基づいて発行されました。そのため、アメリカドルと同等の価値をもちながらもイーサリアムのサービスをそのまま利用できるというメリットがあります。例えば、メタマスクなどのウォレットに保管することができますし、Defiを利用することも可能です。
分散型金融と呼ばれるDefiは、長く低金利が続く従来の金融サービスと比べると高い利率を特徴としており、もちろんサービスごとの安全性を見極める必要はあるものの、多くの暗号通貨投資家の人気を集めています。
Defi投資には、ステーブルコインを利用することもあれば、そうでない暗号通貨を使用する場合もあります。値上がりによる大きな利益を期待して一般的な暗号通貨を利用する場合もありますが、御存知の通り値動きは安定しません。より手堅く利益を上げることを望むのであれば、ステーブルコインを活用するのが賢い選択でしょう。
終わりに
USDコインは、アメリカドルと同等の価値をもつよう設計されたステーブルコインの一種です。競合する暗号通貨の中でも裏付け資産の信頼性はきわめて高く、先に発行されたテザーと時価総額を争うレベルにまで成長しました。
2022年9月の執筆時点で日本の暗号通貨取引所におけるのUSDコインの取り扱いはありませんが、価格の乱高下だけではない暗号通貨のあり方を理解する上で知っておきたいコインのひとつです。