リップルとは?日本で人気がある暗号通貨の特徴や懸念材料を解説
新しい通貨として注目を集めている暗号通貨(仮想通貨)。その代表的な存在であるビットコインは、暗号通貨に詳しくない方でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
暗号通貨はビットコイン以外にもさまざまな種類があり、それぞれの特徴を打ち出して存在感を示しています。
今回はその中でも、日本の暗号通貨投資家の中で人気が高い「リップル」について、その成り立ちや利用ケース、さらなる成長への課題を解説します。
リップルとは
まずは、リップルの概要を紹介します。
ビットコインより前に計画
リップルのプロジェクトは、2004年にカナダの「ライアン・フッガー」氏によってスタートしました。その後ビットコインが採用した分散型台帳の仕組みを取り入れ、現在のリップルの形が整います。リップル内で使われる暗号通貨は「XRP」ですが、それも含めてリップルと呼ぶのが一般的です。
リップルはそのすべてが発行されており、ビットコインやイーサリアムのように新たに発行されることはありません。通貨の管理やシステム開発はリップル社が行っているため、中央集権的と評されます。
日本で人気が高い
リップルの世界市場における時価総額は、執筆時点(2022年4月)で7位に位置します。一方日本の暗号通貨取引所の取引高では、執筆時点の最新データでビットコイン、イーサリアムに次ぐ3位となっています。
日本の暗号通貨取引所で取り扱いのないテザーやバイナンスコインがランキングに含まれないという事情はありますが、日本で比較的早い段階から取引が可能だったことに加え、他の暗号通貨にないリップルの特徴が、日本の投資家に支持されているのかもしれません。
リップルの特徴
ここからは、他の暗号通貨と比べて独自要素が多いリップルの特徴を紹介します。
プルーフ・オブ・コンセンサス
分散管理を特徴とする暗号通貨では、取引は誰かに承認してもらうことで成立します。
ビットコインなど多くの暗号通貨が採用する「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」は、マイナーと呼ばれる人たちの計算作業によって行われます。イーサリアムが移行を目指す「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」は、所有するだけで承認プロセスに参加します。
そんな中でリップルが採用しているのが、「プルーフ・オブ・コンセンサス(PoC)」という独自の仕組みです。リップル社が指定する承認者(バリデーター)がネットワークを形成し、80%以上の同意が得られれば取引が承認されるという仕組みになっています。
誰もが参加する権利があるPoWやPoSとは異なり、特定のバリデーターが取引を管理する仕組みは中央集権的であるとの批判もありますが、一方でリップルの迅速な送金はPoCによって支えられている側面もあります。
送金に強く銀行の支持がある
PoCの採用により送金がスムーズであるとの特徴は、多くの金融機関に支持されています。通常の国際送金では、日本から円をドルに替えてアメリカに送金する場合、間に複数の金融機関が入ることもあり時間やお金といったコストがかかります。
ところがリップルでは、ネットワーク上でまず円をリップル(XRP)に両替し、それをドルに両替するというプロセスを採用することにより、圧倒的な低コストとスピードでの送金を可能にします。
特に流通量が少ないマイナー通貨では、より多くの金融機関が介在しコストが高くなりがちですが、リップルが間を取り持つことでコストが大幅に削減されます。これは金融機関にも利用者にもうれしいことです。
こうした特徴から、リップルは「ブリッジ通貨」と呼ばれます。リップルのネットワークへの参加企業が増えれば増えるほど、通貨の流動性が確保されてリップルを使うメリットは増すことになります。
リップルが抱える裁判とは
金融システムの中に取り入れられつつあるリップルですが、値上がりを阻む大きな要因となっているのが、アメリカ証券取引委員会(SEC)に提起された裁判です。
リップルは有価証券か否か
この裁判は2020年12月に始まりました。SECは、「リップルは有価証券にも関わらず、必要な登録をせずに販売し利益を得ている」として、リップル社を訴えたのです。
SECは主に、リップルが中央集権的な性格をもっていること、暗号通貨取引所などの投資家に便宜を図ったことなどを理由に、リップルは有価証券であると主張しているようです。
リップル社はSECの主張を否定しています。お互いにさまざまな証拠を提示し全面的に争っていますが、いずれかにとって決定的に有利な材料があるわけではありません。
判決は2022年内の可能性も
判決は2022年内にも出されるのではないかとされていますが、確定した日程はありません。仮に有価証券であるとみなされれば、暗号通貨取引所での取引が中止される可能性もあると指摘する専門家もいます。
逆に言えば、リップル社の主張が認められれば大きな足かせがなくなり価格の急騰も予想されるだけに、裁判の行方が注目されます。
終わりに
暗号通貨と既存の金融システムは相容れないのではないかと思われがちですが、リップルは国際送金に強い特徴を活かし、私たちがあまり意識をしないシーンで活用が進んでいます。
暗号通貨らしくない暗号通貨であるリップルの利用は今後も広がるのか、裁判の行方や価格の推移とともに見守っていきたいところです。