パレットトークン(PLT)とは、エンタメ業界に特化した仮想通貨
暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)は海外で誕生するケースが多く、日本で誕生してある程度の規模まで成長したものはきわめて少数であるのが現状です。
そんな中、日本の取引所におけるIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)第1号として高い期待を受けて誕生したのが「パレットトークン」です。
本記事では、パレットトークンの特徴や執筆時点(2022年5月)までの値動きについて解説します。
日本初のIEOで誕生したパレットトークン
まずは、パレットトークンを生み出したIEOについて解説します。
取引所が信頼性を担保する新規発行
パレットトークンはHashPort社の事業子会社「HashPalette(ハッシュパレット)」社が発行する暗号通貨で、日本の取引所におけるIEOの第一号として誕生しました。IEOとは、取引所が事業者を審査して新規発行に関与する形態のことです。
暗号通貨の新規発行はこれまで、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)が一般的でした。誰もが自由に暗号通貨を発行できるICOでは、イーサリアムが開発初期にイーサを発行して資金を調達するなど、暗号通貨市場の成長に大きな役割を果たしました。
その一方、発行のしやすさを逆手に取った事案も目立つようになります。「草コイン」とも呼ばれるマイナーなコインまでも値上がりするような状況に目をつけ、明確なプランがないまま発行されるコインが増えました。その結果、投資家が大きな損害をこうむったり、詐欺的な資金集めに利用されたりするなどしてICOのイメージは大きく低下します。
それを受けて登場したのがIEOです。取引時自らが審査に関与することで信頼性を担保するほか、すぐに上場するため売却しやすく、投資家としても参加しやすいといったメリットがあります。
上場直後に20倍にまで急騰
パレットトークンのIEOでは、人気の暗号資産取引所のひとつ「コインチェック」が審査や上場を担当しました。1PLT(パレットトークンの通貨単位)あたり4.05円で投資家を募ったところ、募集開始後数分で目標金額を超える申込み者が集まり、購入者は抽選で決定。上場当日には90円まで上昇し、投資家に大きな利益をもたらすこととなりました。
それ以降は暗号通貨市場全体の低迷もあって価格は値下がりを続け、執筆時点(2022年5月)時点では25円の価格をつけています。それでも依然として売出し価格を上回る状況ですので、運良く抽選に当たった投資家にとっては大成功のIEOだったと言えるでしょう。
2022年5月時点でコインチェックでのIEOは一件のみですが、2022年夏までに第二弾「フィナンシェトークン」を予定するほか、コインチェックの責任者は審査体制を強化しIEO市場を拡大させたいと意欲を示しています。コインチェック以外では、2022年4月に「GMOコイン」においてプロスポーツチーム初のIEO事例として「FC Ryukyu Coin」が発行されました。
パレットトークンの活用方法
パレットトークンの今後を占う上で重要となるのが、パレットトークンがどのような用途で使われるのかという点です。事業計画を定めた「ホワイトペーパー」や公式サイトなどから解説します。
互換性の高いブロックチェーン
パレットトークンは、独自のブロックチェーンネットワーク「パレット(Palette)」上で運用されます。
パレットは、マンガ・アニメ・スポーツ・音楽といったエンターテイメントコンテンツをNFT形式で流通させることに最適化されたブロックチェーンです。エンターテイメント領域におけるデジタルコンテンツの発行・管理・流通に特化しており、独自の手数料設計により手数料の安定化、低価格化を図ります。
クロスチェーン技術を実装していることも大きな特徴で、パレットで発行したNFTは他のブロックチェーンネットワークでも利用することが可能です。執筆時点では、イーサリアムをはじめとする3つのブロックチェーンネットワークとのクロスチェーンに対応しており、今後も対応先を拡大する予定とのことです。
ブロックチェーンもリリース
パレット上では、2022年6月にPlay to Earn型ブロックチェーンゲーム「ELF Masters」のサービスを開始予定です。キャラクターにはレアリティが決められており、一定以上のレアリティのキャラクターを使うとゲームプレイにより報酬が得られます。
ゲーム内で使えるNFTの売出しも行われており、抽選倍率は60倍を超えるなどユーザーの高い期待を集めています。無料でもプレイ可能とのことですので、まずゲームの雰囲気をつかんでみるのもよいでしょう。
NFTの売出しにあわせ、NFTを流通させるためのマーケットプレイス「PLT Place」もプレオープン。PLTのほかクレジットカードでも決済できるのが特徴で、ガス代と呼ばれる手数料もかかりません。購入したNFTは、今後のアップデートによりユーザー自身が手軽に他のブロックチェーンに移せるようになります。
終わりに
国内第一号のIEOとして好調なスタートを切ったパレットトークン。今後の価格も気になりますが、国産では数が少ないブロックチェーンプロジェクトがどう展開されていくのか注目したいところです。